オススメ本のご紹介⑨ 『武器としての交渉思考 瀧本哲史』 投稿者:林大祐
- 作者: 瀧本哲史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/06/26
- メディア: 新書
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京都大学で学生に教えている「交渉の授業」を一冊に凝縮したものです。
「交渉」というと何を想像するでしょうか?企業間の取引、国家間の外交等難しそうなことが頭に浮かびます。でも実は日常生活のあらゆるところに交渉があるとこの本では書いてあります。
子供のお小遣いの値上げから友達と遊ぶ時の集合時間を決める、ランチに何を食べるか考える、2人以上の人が集まったら必ず交渉の必要が出てくるわけですね。
では、交渉にあたってどんなことを考えなければいけないかというと…
- BATNA(バトナ)
- ZOPA(ゾーパ)
- アンカリング
などなど、なにやら聞き慣れない言葉がたくさん出てきました。
BATNAとはBest Altenative To a Negotiated Agreementの略だそうで簡単に訳すと「相手の提案に合意する以外の選択肢のなかで、いちばん良いもの」という意味だそうです。
ちょっとわかりにくいですが、まずは選択肢をたくさん持つことです。
月3000円のお小遣いを月5000円にしたいと考えている中学生のお小遣い値上げ交渉で考えてみると
- なんとかおねだりして月5000円にしてもらう
- 次のテストで成績アップしたら月5000円にしてもらう
- 今のお小遣いが友達と比較して低いことを説明する
- 大好きなゲームを止めて家事を手伝うことを約束して月5000円にしてもらう
などでしょうか。これらの選択肢の中からいちばん良いと思われるものを、自分の手を相手であるお母さんに悟られないように話しあって決めることになります。
なんだかトランプや将棋みたいですね…。僕が交渉するなら1→3→4→2の順で話しをしていきますが皆さんはどうでしょうか?
次のZOPAとはZone Of Possible Agreementの略だそうで、日本語にすると「合意可能な範囲」となります。
例に上げた中学生の交渉相手をお母さんとすると、お小遣いは現状の3000円になんとか収めたい!と思っているはずです。
中学生とお母さんの両者では3000円から5000円の間がZOPAとなります。この範囲内の合意がお互いにとって
共に利益になる結果でそれ以下や以上の合意はどちらかの不幸せになるので交渉を打ち切るべきなんだそうです。
最後のアンカリングは聞いた事がありましたが、海外旅行で買い物をするといわゆる「ぼったくり」のような高値を最初に提示された経験がある人も多いのではないでしょうか?
高すぎるので「NO!」と言うとそこからどんどん値引きしていくやり方ですが、人間は最初に提示された条件を基準に物事を考えてしまうのでそこから半額にまで値引きしてもらうとなんとなく「お得だな」と思って買ってしまいます。実はそれでも売り手にとっては充分利益がでる値段だったりするわけですね。
難しい交渉から日常生活におけるちょっとした話し合いの中にも「交渉」が混じっている事を意識してみると面白いかもしれませんね。
この本は860円ですが京都大学の授業をこの値段で受けられると思えばお得ですよ!