オススメ本のご紹介12『決断力 羽生善治』投稿者:林大祐

決断力 (角川新書)

決断力 (角川新書)

将棋といったらほとんどの人がまず名前を浮かべるだろう羽生善治さん。将棋は駒の動かし方を知ってるくらいの私ですが羽生さんが歴史に名を残すくらいの実力者ということは知っていました。


終盤で誰も思いつかない手での大逆転は「羽生マジック」と呼ばれ過去21年間で18回賞金王になった羽生さんがどんなことを考えているのか知りたくて読んでみました。羽生さんが普段から心がけていることは「KISS」だそうです。これは羽生さんが、カーネギーメロン大学の金出武雄先生から聞いた言葉で「keep it simple, stupid」の略です。元は軍隊用語からきたもので日本語に訳すと「もっと簡単にやれ、ばかもんが!」という感じです。


羽生さんが対局中に決断する時は、たとえその手が危険でも単純で簡単な方法を選ぶそうです。シンプルに物事を考えるというと簡単そうですが、この一手で勝負が決まる!というときにシンプルに物事を考えられる精神力はすごいですね!


本には将棋にまつわるいろんなエピソードが書かれていますがその中でも面白かったのは、プロの棋士の集まりで「実戦で10手先の局面を予想することができるか」という話題になった時に全員一致で「できない」という結論になったという話しです。


プロは何十手も先を読んで将棋をしているのかと思っていましたが、プロ同士レベルが拮抗していると必ず自分が考えていないことを相手にやられ、それに対応していくことになるのでいくら羽生さんといえどもそんなに先のことまで予想することはできないそうです。ではそんなぎりぎりの所で力を発揮できる決め手はなんなのかというと、それは「大局観と感性のバランス」だそうです。なかなか難しそうな言い回しですね…。



本では大局観について、状況判断力、本質を見抜く力であると書かれています。その思考の基盤になるのは「勘、直感力」だそうです。そして直感力の元となるのが感性であると羽生さんは考えているそうです。羽生さんいわくこの「感性」は普段の訓練以外にも読書をしたり、音楽を聴いたり、将棋界以外の人と会ったりといった様々な刺激によって総合的に研ぎすまされていくとのこと。


これは将棋に限らず私たちのような一般人にも当てはまることかもしれませんね〜。


ちなみに、羽生さんが将棋を上達する為にしてきた勉強法は初心者のころも今も変わらないそうです。

  • イデアを思い浮かべる
  • それがうまくいくか細かく調べる
  • 実戦で実行する
  • 検証、反省する


これは私たちの日頃の仕事にも活かせそうですね!また、続けることの重要性についてもとても参考になりました。物事を続けると必ず行き詰まりがくるものですが、そんな時ペースを落としてでも続けることが重要だそうです。気合い十分で始めたものの、無理をしたり頑張りすぎて途中であきらめて辞めてしまうくらいなら一回一回の集中力、速度、費やす時間などを落としてでも毎日すこしずつ続けることが大切とのこと。


こうやって見てみると羽生さんほどの人物がやっていることでも基本的なことばかりですね。基本を徹底して、継続できるか。何事においても一歩飛び抜けるには基本が大事ですね!