オススメ本のご紹介③ 野中郁次郎 失敗の本質 投稿者:林大祐
- 作者: 戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井友秀,野中郁次郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1991/08/01
- メディア: 文庫
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第二次世界大戦時の日本軍を組織論の観点から研究したものです。
開戦当初を除き、連敗を続けた日本軍は物質的、人的資源の差だけで
敗れたのではなく、組織としてのシステムからして負けるべくして負けたようです。
この本ではガダルカナル島、ミッドウェー作戦など重要なポイントとなった戦いの詳細な
記録をもとに日米両軍の差を導き出します。
企業などの大きな組織はもちろん、個人に照らし合わせても
なるほどと思わされる部分がたくさんあります。
組織運営に関して印象に残った部分
- 明確な目的を持つ行動
日本軍は作戦の場面場面において目的があいまいだったようです。
日本軍が初めて大敗したミッドウェー作戦における目的は
「真珠湾攻撃で打ち逃した敵の空母を殲滅させるため」だったのか
「ミッドウェー島を占領するため」だったのか
あいまいな目的設定が作戦を失敗に導いたようです。
- 意思の統率
一枚岩かと思っていた日本軍ですが
陸軍の仮想敵国は中国を主戦場にした「ソ連」だった。
海軍の仮想敵国は太平洋を主戦場にした「アメリカ」だった。
しかし実際の敵は東南アジアを主戦場にした「連合軍」だった。
陸軍、海軍は一体化されることなく時に対立しあったそうです。
- 過去の成功にすがる
日本軍の訓練、学習は第二次世界大戦の約30年前にあった
日露戦争での勝利をベースにしたものであったようです。そのときの
成功例から、30年たっても「白兵主義」「艦隊決戦主義」から抜け出せず
航空機の発達、兵器の発達といった環境の変化に対応する力を失ってしまったそうです。
絶えず自己否定(学習の棄却)し環境の変化に対応できる組織でいなければいけない。
それでも目的は明確に。難しいですね…。
「過去の成功にすがる」という点に関して、最近個人的に面白いなと思ったニュースがあります。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130521/k10014737941000.html
4Kテレビという画面の綺麗なテレビを日本の大手電機メーカーが相次いで発表しています。
70型が85万円、60型が65万円のテレビだそうですが果たしてこの製品は本当に
ユーザーに必要とされているのでしょうか…??
自分を振り返ってみると、私はこの10年間でテレビを見る時間がとても少なくなりました。
同じような状況の人も少なくないのではないかと思います。
環境の変化を察知できずに過去の成功にすがりテレビの大型化、高性能化を続ける
日本の電機メーカーを見ていると、私には4Kテレビが「戦艦大和」に思えてきますが
さあこの製品の行方はいかに?