オススメ本のご紹介11『タモリ論 樋口毅宏』投稿者:林大祐

タモリ論 (新潮新書)

タモリ論 (新潮新書)

「難しいことを難しいまま言うやつ、あれ、バカだよね」byタモリ


10月22日、32年間続いた国民的番組「笑っていいとも!」が来年3月で終了することが番組中で明らかにされました。
NHKでもニュースとして取り上げられ、タモリ好きの私は「ついにXデーがきたか」としばらく落ち込んでしまいました…。



紹介する『タモリ論』は主にタモリと笑っていいともに関するエピソード、そしてタモリと共に「BIG3」と言われる
ビートたけし明石家さんまに関するエピソード、テレビというメディアについて書かれています。



30年以上ほとんど休まずお昼の生放送に出続けることは常人にはとてもできない、ノイローゼになるような仕事
だと著者は考えているようですが全くその通りですね。タモリは1995年までは夏休みを取っていたそうですが
それ以降は夏休みなしで、休んだのは船舶免許取得とゴルフボールが頭に直撃した時と白内障の手術を含めた人間ドック
の3回だけだそうです。



知られざる話しとしては「笑っていいとも!」は当初ビートたけしを司会にするプランだったのですが、
たけしが断ったためタモリが司会をつとめることになったそうです。びっくりですね!
でも、もしたけしが生放送の司会をやっていたら映画を撮る時間なんて無くなってしまいますから
「世界のキタノ」は生まれなかったかもしれません。



私の中にある「いいとも」の思い出といえば、小学生のころ夏休みに母親の実家の福島県に行き「いいとも」を見ながら
お昼ご飯を食べていると決まっておばあちゃんが「この番組は何やってるかわけわからないからつまらない」と言っていたことです。
でも今思えばこの「何も残らない番組」であることこそが「笑っていいとも!」が30年以上続いてきた理由なのかもしれません。
12時にテレビをつければなんとなくサングラスのおじさんが出ていて、めちゃくちゃ面白いわけでもないのになんとなく見てしまう。
つまらないと思えばチャンネルを変えられる気楽な関係をお茶の間と築けたのは、タモリの変幻自在な芸風と豊富な知識の賜物ではないでしょうか。




マシンガンのような早口と鋭い目つきをしていた天才ビートたけしは映画監督「北野武」になり最近は言葉につまる場面が多くなり昔のような毒舌はめっきり減りました。




どんなことでも笑いに変えてしまう魔術師明石家さんまは2年後の60歳で引退をほのめかしているそうです。




サングラスの奇人タモリは自分の看板番組終了を淡々と告げました。




もしかしたらこの数年でテレビというメディアの転換期がくるのかもしれません。タモリをテレビで見る機会が減るのは残念ですが始まりがあれば必ず終わりがあります。残りの「いいとも」を見るときはお疲れ様でしたと今までありがとうという気持ちを持って,でも今までと同じようにぼんやりなんとなく見ようと思います。



最後に話題にもなったあの動画を載せます。個人的には歴史に残る名スピーチだと思います。