オススメ本のご紹介19『アラブとイスラエル 高橋和夫』投稿者:林大
アラブとイスラエル パレスチナ問題の構図 (講談社現代新書)
- 作者: 高橋和夫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1992/01/16
- メディア: 新書
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話は紀元前にまでさかのぼります。ローマ帝国との戦争に敗れ古代イスラエルの土地を追放されたユダヤ人たちはヨーロッパを中心に世界中にちらばりました。それから約2000年の間ユダヤ人は国をもたず世界の国々から迫害され続けます。商売の才能を生かして、キリスト教圏で良いイメージの職業ではなかった金融業などにつく人々が多かったそうです。
1900年代に入り、散らばっていたユダヤ人たちの間ではかつて自分たちが住んでいた土地に戻り国家を築こうという運動が起こります(シオニズム)。しかしかつて自分たちが住んでいたイスラエルの土地にはその時すでにパレスチナという国家が成立しユダヤ人以外の人々が住んでいたそうです。それでもユダヤ人たちはパレスチナに流入し、パレスチナ人が国を追われることになります(パレスチナ難民)。ユダヤ人たちは戦争によりパレスチナの土地を奪うのではなく金融業などで得た莫大な資金を利用してパレスチナの土地を買い、移り住んだそうです。
そして1947年パレスチナの分割決議案が国連で承認され1948年イスラエルという国家が成立されます。この独立を後押ししたのがアメリカです。この背景には、この年ちょうどアメリカでは大統領選挙がありアメリカには600万人といわれるユダヤ人が住んでたそうですが、後に大統領となるトルーマンはユダヤ人の票を得るためイスラエル承認を進めたという思惑もあったそうです。
こうして中東への介入を始めたアメリカがイスラエルをバックアップ、イスラエル独立に反発するアラブ諸国をソ連がバックアップといった感じで米ソ冷戦は中東を舞台に熱く衝突します。日本はというと、アメリカと友好関係にあるためアラブ諸国との関係が悪化、石油が手に入らなくなる!という事態に発展。これがオイルショックです。その後中東情勢はさらに複雑に、いまだ戦火がやむ事はありません。こんな話しを知ると簡単に「戦争はだめだ。平和が一番。」なんて言えませんが歴史を知る事は重要だなと思いました。
昨今のクリミア情勢を巡ってロシアとアメリカの対立が再び強まっています。
http://www.huffingtonpost.jp/2014/03/19/crimea-russia-us-japan_n_4995784.html?utm_hp_ref=japan
背景には色々な問題が隠れていそうです。遠く離れた地域の問題ですが、少なからず日本にも影響はありそうなので注目しておかなければいけませんね。